整形外科 手術料金
膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)は、ひざにあるお皿の骨(膝蓋骨)が正常な位置から内側あるいは外側にはずれてしまう病気です。膝蓋骨を英語でpatella(パテラ)ということから、膝蓋骨脱臼は「パテラ」とも呼ばれています。膝蓋骨は靭帯と腱に連結した形で膝の前面中央に位置しているのが正常な状態で、関節を曲げ伸ばしする際に“滑車”のようになめらかに上下します。しかし、何らかの原因によりその軌道からはずれてしまった状態を膝蓋骨脱臼といいます。内側に外れる内方脱臼はトイプードル、ヨークシャーテリア、ポメラニアン、チワワ、シーズーなどの小型犬に多く、外側に外れる外方脱臼はゴールデンレトリーバーなどの大型犬にまれにみられます。治療には外科手術が必要になります。手術内容は①靭帯の向きの修正②内側・外側に引っ張る強さの調整③大腿骨の溝を深くする④周囲の筋肉のバランスを調整する、などが必要になります。
片側膝蓋骨脱臼整復
入院日数 2泊3日
入院・手術料金 28万
両側膝蓋骨脱臼整復
入院日数 2泊3日
入院・手術料金 38万
前十字靭帯断裂
太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)を結びつける2本の十字靭帯のうち、前十字靭帯が切れてしまう病気です。前十字靭帯は脛骨が大腿骨の前に飛び出さないよう制限する役割をしていますが、前十字靭帯が断裂してしまうことで膝関節が不安定になり、半月板や関節軟骨に損傷が起きます。損傷程度により変わりますがおおむね後ろ足を痛がる、びっこをひく、ケンケンで歩くなどの症状がみられます。診断にはレントゲン検査や整形検査が有効です。治療は外科手術をおすすめします。人工材料を人工靭帯として用い、大腿骨と脛骨を安定化させる手術(関節外法)や脛骨の一部を切り、角度調整を行い、プレートで固定することで膝関節を安定化させる手術(TPLO法:脛骨高平部水平化骨切り術)を行います。
術後は安静にする必要があるため、入院が必要です。その間は点滴や痛みの緩和治療を行います。また、退院後は保護包帯を着け、フローリングや階段を避けた軽い運動が必要です。
入院日数 2泊3日
入院・手術料金 28万(TPLOの場合は38万)
アキレス腱断裂
アキレス腱とは、浅指屈筋腱、腓腹筋腱、大腿二頭筋・薄筋・半腱様筋の腱部の総称で、その一部または全てが切れてしまった状態をアキレス腱断裂といいます。トリミングや運動時の外傷によって急性に発症することが多いです。アキレス腱の大部分またはすべてが断裂すると、体重がかかった際に足根関節が過度に屈曲する「べた足」や跛行などの症状がみられます。診断は一般的に視診、触診、レントゲン検査によって行われますが、超音波検査も有効です。治療は外科手術により切れたアキレス腱を縫合しつなぎ合わせます。アキレス腱がしっかりくっつくまでは創外固定などで固定し、しばらくの安静が必要です。
入院日数 2泊3日
入院・手術料金 28万
股関節脱臼
股関節は骨盤の寛骨臼大腿骨と大腿骨頭により形成されており、寛骨臼から大腿骨が外れてしまった状態を股関節脱臼といいます。ほとんどが交通事故や階段からの落下など、強い衝撃を受けたときに起こります。症状は、痛みが伴うため足を引きずりながら歩く、触ると嫌がるなどがみられます。診断にはレントゲン検査、触診が有効です。治療は、手術をしないで麻酔下で脱臼を手で戻す非観血的整復と外科手術に分けられますが、非観血的整復は再脱臼率が高いため、外科手術による治療をおすすめすることが多いです。手術は人工靭帯を用いて靭帯を再建するトグルピン法を行います。この方法は関節の構造を残して手術ができるため、術後の回復が早いという利点があります。他に、当たっている骨頭を切り取り、痛みを緩和する大腿骨頭切除術を行うこともあります。術後しばらくは保護包帯を着け安静に過ごし、後肢に過度の負担がかからないよう運動制限や体重の管理が必要になります。
股関節脱臼整復(用手整復)
入院日数 1泊2日
整復費用 8万
股関節脱臼整復術(手術を行う場合)
入院日数 2泊3日
入院・手術料金 35万
肘関節脱臼
前足を突っ張って立っている際に、肘部分に横からの圧力が加わることで肘関節の脱臼を発症します。さらに肘を曲げている状態でねじりの圧力が加わった際も脱臼することがあります。交通事故や高いところからの落下など外傷が原因になることが多いです。症状は肘を曲げた状態のまま、前肢を地面につかないよう歩いたり、跛行(びっこ)などがみられます。診断はレントゲン検査、触診が有効です。治療は、手術をしないで麻酔下で脱臼を手で戻す非観血的整復と外科手術に分けられますが、非観血的整復は関節周囲の靭帯の損傷具合により再脱臼してしまうことも多いため、外科手術による治療をおすすめします。手術は人工靭帯を用いて靭帯を再建する方法で行います。術後しばらくは保護包帯を着け安静に過ごし、前肢に過度の負担がかからないよう運動制限や体重の管理が必要になります。
入院日数 2泊3日
入院・手術料金 35万
大腿骨頭切除(大腿骨頭壊死症、レッグペルテス病)
何らかの原因により大腿骨の大腿骨頭に栄養を供給している血液供給が途絶え、成長が阻害されることで大腿骨頭の変形や壊死、骨折などの障害を起こす疾患です。レッグ・ペルテス病とも呼ばれています。成長期(4~12ヶ月齢)の小型犬に多く発症し、後肢を痛がる、跛行(びっこ)などの症状がみられます。診断にはレントゲン検査、整形検査が有効です。
治療は、症状が軽度な段階では内科療法や運動制限によって改善を認めることもありますが、ほとんどの場合手術が必要になります。外科手術では直接の痛みの原因となっている大腿骨頭を切除する大腿骨頭切除術を行います。適切な時期に手術を行えば、通常は残った骨と臀部の筋肉で関節様の構造を形成し、正常な歩行が可能になります。術後は入院にて安静に過ごし、退院後は足の曲げ伸ばし、少しずつ運動を行うなどリハビリが必要になります。
入院日数 2泊3日
入院・手術料金 28万
骨折(橈尺骨骨折、大腿骨骨折、骨盤骨折など)
わんちゃん、ねこちゃんの体には骨格という骨組みがあり、それによって体重を支えています。その骨に強い力が加わったり、骨自体が弱まってしまったり、弱い力が慢性的に加わることによって骨が損傷することを骨折といいます。また、完全に折れていなくても骨にヒビが入ってしまったり、欠けてしまうのも骨折です。特に骨の細い小型犬はベッドやソファから飛び降りた際に衝撃に耐えきれず、前足を骨折してしまうことが多くあります。症状は、肢を地面に着けず、挙げたまま歩いている、患部が腫れて熱をもっている、触ると痛がるなどがみられます。診断にはレントゲン検査、触診が有効です。治療は、ギプス固定を行う場合もありますが、ギプス固定で治る骨折の種類は少ないため、多くの場合手術が必要になります。手術はLCPというプレートを用いてプレート固定を行います。従来のプレートとは異なり、プレートが骨に直接触れる面積を減らすことで骨癒合を早め、治療後の骨痩せ(骨がプレートに頼ることで細くなってしまう現象)のリスクを減らすことができます。術後早期に歩けるようになり、自宅での管理も簡単なため、治療の第一選択肢となります。また、骨折部位によっては細いピンを使用して骨を固定するピンニング固定を行います。しかしすべての骨折に適用はできず、特に小型犬に多い橈尺骨骨折には骨癒合不全の原因になるため使用できません。術後しばらくは安静に過ごし、筋肉をつけるため少しずつ適度な運動を行っていきます。骨折は日常のちょっとしたアクシデントで起こってしまうことが多いため、フローリングなどで足が滑らないようマットを敷く、高いところにのぼらせないなど生活環境の見直しと改善を行うことも大切です。
入院日数 2泊3日
入院・手術料金
骨折整復術(前肢) 28万
骨折整復術(後肢) 28万
骨折整復術(骨盤) 45万
骨折整復術(脊髄) 45万
骨癒合不全
骨折をした際に適切な治療が施されない、または固定手術を行ったにもかかわらず骨が癒合しない(骨がくっつかない)癒合不全を起こすことがあります。癒合不全の発生率は3.4%と報告されており、小型犬の橈尺骨骨折癒合不全が最も多いとされています。骨癒合不全の原因は骨欠損や粉砕骨折など骨折状態の不良、感染、骨折の整復、固定の不良、固定期間の不足などがあげられます。診断はレントゲン検査が有効です。
プレート手術やピンニング手術を行っている場合は手術により摘出し、金属に細菌が付着していないかの細菌感受性検査を行います。
入院日数 2泊3日
入院・手術料金 45万